
地面師たち (集英社文庫)
新庄耕
集英社 / 2022
この本について
仕事でも人生でも、「正しさだけでは動けない瞬間」がありますよね。自分の中の弱さとか打算とか、できれば見たくない部分に気づいてしまうとき。私もそういう場面に何度かぶつかってきて、この本を読んでいる途中で、妙に自分の心の奥をつかまれる感覚がありました。 『地面師たち』が効いてくるのは、悪人を美化しているからではなく、人の弱みや迷いをものすごくリアルに描いているところです。たとえば「心のどこかで自分を信じきれているなら最後はどうにかなる」という台詞は、状況は全然違うのに、追い詰められた自分をなんとか支えてきた感覚と重なりました。また、人の善意に触れた瞬間のざらつきや、後戻りできない道を歩きながらもどこかで冷静な自分がいる感じなど、具体的な場面を通して“人はこうやって揺れる”というのを突きつけてきます。 さらに、登場人物たちが法令や哲学まで知り尽くしながら、淡々と「当たり前のことだけやる」姿に、不思議と現実の仕事にもつながる示唆がありました。結局、状況がどれだけ複雑でも、人の判断や行動ってこういうところで決まるのかもしれない、と落ち着いて眺められるようになる一冊でした。 自分の中の“光と影の境目”をそっと見たい人に刺さると思います。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第4章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの32%が集中しています。
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