
地面師たち アノニマス (集英社文庫)
新庄耕
集英社 / 2024-11-20
この本について
仕事でも家庭でも、どうしてか自分だけ歯車が噛み合わない瞬間ってありますよね。真面目にやっているつもりなのに、少しずつ状況が崩れていって、気づいたら後戻りできないところに立っている感じ。自分のせいなのか、運が悪いだけなのか、その境界がぼやけてしまうあの感じです。 『地面師たち アノニマス』を読んで刺さったのは、まさにその「境界の揺れ」でした。100億円規模の詐欺なんて全然関係ないと思っていたのに、登場人物たちの日常がじわじわ壊れていく過程が、妙に現実味を帯びてくるんです。後藤のように、真面目に働いても生活が苦しい時に目の前に置かれる300万円とか、青柳のように正しくあろうとするほど追い詰められていく感じとか、長井のように“いい人”であることが裏目に出てしまう場面とか。どれも突飛な悪ではなく、ちょっとした弱さや疲れに根ざしているのが苦しいほどリアルでした。 読んでいて思ったのは、「自分もどこかで一歩違えば、この側に転がっていたかもしれない」という感覚です。だからこそ、ハリソン山中みたいな存在に心の隙間をそっと触られたら、人は簡単に傾いてしまうんだろうなと。怖いけれど、目をそらせない。 人の弱さを責めきれない人、正しさだけでは立っていられない現実を知っている人に刺さる本です。気持ちは決して軽くならないけれど、読み終えたあとに「誰かの幸せを祈りたくなる」ような静かな余韻が残ります。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第1章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの100%が集中しています。
読書の順序
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