
民俗学入門 (岩波新書)
菊地 暁
辰巳出版株式会社 / 2025-09-09
この本について
仕事でも生活でも、人と関われば関わるほど、「なんで自分はこう振る舞うんだろう」とか「この感じの居心地の悪さって何なんだろう」といった言葉にしづらいモヤモヤが出てきます。理屈というより、“空気”とか“習慣”みたいなものに動かされている感覚が強くて、正面から向き合うのも少し怖い。僕自身もよくそこで立ち止まってしまいます。 『民俗学入門』を読んで救われたのは、こうした曖昧で説明しにくい気持ちを、「人間がずっとやってきた暮らしの積み重ね」として受け止められる視点がもらえたことでした。たとえば、衣服が「発情をコントロールする文化装置」だという話や、避難所では屋根があっても「home」がないことで人が弱ってしまうという指摘は、普段の自分のふるまいの裏にある“人間らしさ”を静かに照らしてくれます。また、食べ方や働き方にしても、そこには「せつなさ」と「しょうもなさ」が絡み合う現実があると語る著者の距離感が、妙に落ち着くんですよね。完璧さを求めるのではなく、人が迷いながら続けてきた営みとして見直せる。 日常の行動や違和感の“根っこ”を、現実的なスケールで確かめたい人に刺さる本だと思います。僕もそうですが、答えを求めているというより、「今ある生活を少しだけ深いところから見直したい」という気分のときにちょうどいい一冊です。
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