
俺ではない炎上
浅倉秋成
双葉社
この本について
人と関わっていると、ときどき「なんでこんなに誰も自分のことを顧みないんだろう」とか、「自分は悪くないと言い張る声に飲み込まれそう」とか、そんな疲れ方をすることありませんか。家庭でも職場でも、誰かの責任が宙ぶらりんのまま放置されて、結局いちばん近くの人間が傷を負う……そういう場面って思った以上に多いですよね。 『俺ではない炎上』は、そういう“モヤモヤの正体”を、物語の形でじわっと可視化してくれる本でした。例えば「みんな『自分は悪くない』しか言ってなかった」という描写は、現実のSNSで毎日見ている光景にそのまま重なるし、「戻れない教室」や「家事だけしていると立ち位置がわからなくなる」場面は、自分の生活のどこかを押されるような痛みがあります。派手な謎解きの裏で、人間が追い詰められたときの情けなさや、責任の押し付け合いの構造が、妙にリアルなんですよね。 読みながら何度か立ち止まったのは、登場人物たちが完璧ではなく、それぞれ“自分を守るための言い訳”に逃げた瞬間が描かれているところです。そこに憧れや理想はなくて、「自分もこうなるかもしれない」という身近さがある。だからこそ、物語の端々にある「じゃあ自分はどう変わる?」という問いが、自分ごととして残りました。 自分は悪くない、という世界の空気に少し疲れている人に刺さる本です。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第4章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの37%が集中しています。
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