
信仰 (文春e-book)
村田 沙耶香
第三文明社 / 2021-12-10
この本について
「人の“現実”と自分の“現実”って、そんなに違うものなんだろうか…」と考え込む瞬間ってありませんか。誰かの選択がどうしても理解できなかったり、逆に自分が“正しさ”を押しつけていたことに後から気づいて落ち込んだり。私自身も、人を心配して言ったつもりの言葉で場を冷やしてしまった経験が何度もあります。 村田沙耶香さんの『信仰』は、そのモヤモヤを真正面から扱っています。カルト、個性、多様性、正しさ。どれも大きすぎるテーマなのに、作中の語りは驚くほど日常的で、むしろ他人の“幻想”にどう距離を取るかという身近な話として響いてきます。たとえば、人が大事にしている楽しみを「それ現実的じゃないよ」と壊してしまうことの残酷さや、逆に“現実”という言葉そのものも洗脳になりうるという指摘は、自分の立ち位置を揺さぶってきます。 読みながら、「多様性って、気持ちよく受け入れられるものだけを選んでいるだけじゃないか」「私は人を幸せにしたいのか、安心したいだけなのか」と、目をそらしていた部分を静かに突かれました。自分の癖や弱さまで含めて、もう一度“他者との距離感”を考え直したい人には刺さると思います。 正しさに疲れたとき、自分の“現実”が揺らいでもいいと思わせてくれる一冊でした。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第10章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの32%が集中しています。
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