名探偵のいけにえ―人民教会殺人事件―

名探偵のいけにえ―人民教会殺人事件―

白井智之

累計読者数5
平均ハイライト数 7.4件/人
star総合評価 40/100
boltライト読書型

この本について

仕事でも日常でも、「合理的に考えているつもりなのに、人の“信じたいもの”に押し流される瞬間」があります。筋が通らないと分かっていても、相手の確信の強さにこちらが揺らぐこともあって、あとから自分でも驚くんですよね。そんなときに、この本の世界の“信仰が現実をねじ曲げていく感じ”が、不思議と自分ごとのように響きました。 作中では、人の思い込みがどれだけ強くなると現実を上書きしてしまうのか、そしてその中で「合理的に謎を解く」という行為がどれほど孤独で苛酷かが、淡々と描かれていきます。相談員のりり子が淡々と事実と向き合う姿や、信者たちが矛盾を解消するために新しい“説明”を生み出してしまう場面は、自分の職場やネットの議論でも見覚えがあって、妙に生々しいんですよね。さらに、善悪より“見つかるかどうか”で動く人間のリアリティも、現実の判断に置き換えると刺さるものがありました。 信念と事実がズレ始めたとき、私たちはどちらを優先してしまうのか。その揺らぎの中でどう判断するのか。本書は派手に教えてくるわけではありませんが、登場人物たちの選択を追っていると、自分の中の「気づかない盲点」に静かに触れられる感覚があります。思考の癖を見直したい人に特に刺さると思います。

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