
中二階の原理 日本を支える社会システム (日本経済新聞出版)
伊丹敬之
日経BP / 2022-08-29
この本について
仕事でも社会の話でも、「なんで日本はこういう動き方をするんだろう」と立ち止まることが多いんですよね。制度としては西洋型を取り入れているのに、現場の動きはもっと別の論理で回っているように見える。そのねじれをどう扱えばいいのか、自分でも説明しきれずにモヤモヤしたまま終わることがありました。 この本は、その感覚に名前を与えてくれる感じがします。明治の廃藩置県や戦後の農地改革のような大きな転換が、なぜ日本だけ不思議なほどしなやかに進んだのか。そこに「国家の命令」(二階)とは別に、「共同体で共有された善悪の基準」(中二階)が作用していた、という視点は、読みながら何度もうなずきました。また、日本企業がアメリカ型の改革に戸惑う理由や、コロナの自粛要請に人々が従った背景も、この二つの原理の共存として見ると腑に落ちてきます。制度を否定するのではなく、現場との橋渡し役が歴史的に働いてきた、という説明がとても現実的です。 社会や組織を見るときの「視界の解像度が上がる」感覚がほしい人には刺さると思います。日本の不思議な動き方を、単なる性質論ではなく、長い歴史の中で積み重なった仕組みとして理解したいときに、静かに効いてくる一冊でした。
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