
私が陥った中国バブルの罠 レッド・ルーレット:中国の富・権力・腐敗・報復の内幕
デズモンド・シャム and 神月 謙一
この本について
仕事で他国の制度を前提に考えてしまい、「なんで話が通じないんだろう」とか「常識が噛み合わないまま判断を迫られるのが怖い」と感じることってありますよね。自分も、中国のビジネスや政治の空気を“なんとなく”で理解したつもりになって失敗しかけたことがあって、この本を読んだときは、その感覚が言語化されていく感じがありました。 特に刺さったのは、当時の中国で多くの人が「欧米型の透明な資本主義に近づいていく」と本気で思っていた、という部分です。後からなら誰でも整合的な説明をつけられますが、渦中にいるとその判断はかなり難しい。著者自身も同じように信じて、同じように迷い、責任を引き受けている。その距離感が、自分の判断の揺らぎを肯定してくれる気がしました。 もうひとつは、グレーゾーンを前提とした世界での「信頼」のつくられ方。規則が意図的に曖昧で、いつ変わるかもわからない。その中で人がどう意思決定をし、どう身を守るのか。日本や欧米の“透明さ”に慣れていると想像しにくい部分ですが、著者の具体的な人間関係の描写が、抽象論ではなく現場の感覚として届いてきます。 異文化ビジネスに接する人はもちろん、「制度が違えば正しさの形も変わる」という視点を持ちたい人に向いている本だと思います。
読書インサイト
ハイライト密度
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