
我々はどこから来て、今どこにいるのか? 下 民主主義の野蛮な起源 (文春e-book)
エマニュエル・トッド and 堀 茂樹
文藝春秋 / 2023-03-17
この本について
社会や政治の話題を見ていて、「なぜ人々はこんなふうに考えるんだろう」とか、「国ごとに反応がここまで違う理由がつかめない」といったモヤモヤを抱えたままになることがよくあります。表に出ている意見や対立を追うだけでは、背景の仕組みまで届かない感じがするんですよね。 この本は、その奥にある構造をかなり容赦なく具体的に描いてくれます。たとえば、アメリカでの黒人観や移民の位置づけが、倫理ではなく「白人内部の不平等」の揺らぎと密接につながっている話や、高等教育が平等を強めるどころか階層化を固定化している現実など、見慣れたテーマをまったく別の角度から照らしてくれる感覚がありました。また、日本やドイツで個人主義やフェミニズムが「文化的に噛み合わない」背景を人口動態とセットで説明する部分も、国内ニュースだけを見ていては気づけない視点でした。経済の成功を語る前に「人口の再生産」を見るべきだという指摘は、耳が痛くもあり納得感があります。 派手な希望をくれる本ではないですが、世界のあちこちで起きている摩擦を「そういうことだったのか」と腑に落ちる形で理解できるのは大きかったです。国際ニュースのノイズに疲れた人や、社会の変化を自分の言葉で考えたい人に刺さると思います。
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