
トッド人類史入門 西洋の没落 (文春新書)
エマニュエル・トッド、片山 杜秀、佐藤 優
文藝春秋 / 2023-03-17
この本について
最近、ニュースを追っても状況の変化が速すぎて、「いま世界はどこに向かっているのか」がつかめないまま不安だけが残ることが多いです。特にウクライナ情勢や大国の動きは、断片的な情報だけではどうしても実感が持てないまま終わってしまう。自分もずっとそのモヤモヤを抱えていました。 この本が面白いのは、プーチンの発言や戦争の現実を表面的に追うのではなく、その裏側にある「見えない歴史的な流れ」を拾い上げてくれるところです。トッドが繰り返す「歴史的現実は目に見えない」という言葉は、自分の理解の浅さを突かれた感覚がありました。例えば、家族体系が社会の構造や政治の性質にどう影響しているか、あるいは集団の一体性が“外部の敵”によって維持されてきたという、人類の長い営みのクセのようなものが丁寧に示されます。いま起きている戦争が、単なる国同士の衝突ではなく、大きな秩序の変化の一部にあると気づけるだけで、ニュースの見え方がまったく違ってきます。 もちろん、この本を読んだからといって不安が消えるわけではありません。ただ、世界が乱れている理由を“自分なりに言葉にできる”ようになることで、漠然とした恐さが少しだけ減る感覚があります。状況の答えを探すというより、「どういう目線で世界を見るか」を更新したい人に向いている本だと思います。
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