
「美食地質学」入門~和食と日本列島の素敵な関係~ (光文社新書)
巽 好幸
この本について
日々料理をしていて「なんで関東の出汁はうまくいかないんだろう」とか、旅先で飲んだ水や酒の味が妙に気になったりしませんか。自分もずっと、その理由を“腕の問題”で片づけていたんですが、この本を読むと、そもそも土地の成り立ちや水の硬度から違っていたんだと腑に落ちます。 面白いのは、それが単なる雑学で終わらず、普段の食べ方や料理の選択にそのままつながるところです。例えば、関東の水が硬水寄りになる理由が、秩父や葛生の石灰岩にあったと知ると、江戸前寿司のツメや蕎麦のツユがなぜあの味になるのかが急に立体的に見えてきます。あるいは、花崗岩の伏流水が鉄分をほとんど含まないから麹が育ちやすい、と理解すると、日本酒の産地ごとの個性が“地質レベル”で腹落ちする。さらに、ホタルイカや明石鯛の話のように、海底の地形や砂の粒度までが味を形づくると知ると、季節ものを食べる時の視点がちょっと変わります。 こういう「うまい/まずい」の一歩手前にある“地球側の事情”を知ると、自分の生活が驚くほど整うことがあります。料理が苦手でも、旅先で食べたものをまた別の角度で思い出せるし、ただの水道水ですら背景を持った存在として扱えるようになります。 食の好みをもっと深掘りしたい人や、理屈で納得しないと前に進めないタイプの人には特に刺さる本だと思います。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第10章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの16%が集中しています。
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