
「居場所がない」人たち ~超ソロ社会における幸福のコミュニティ論~(小学館新書)
荒川和久
この本について
「居場所って、どこにあるんだろう」と考えたことがある人は多いと思います。仕事が変わったり、友人との距離感が変わったり、家族とのつながりにも昔ほどの“絶対性”がなくなってきたり。ニュースで少子化の数字を見るたびに不安になるわりに、実際の自分の生活とはどこか噛み合わない…そんなモヤモヤ、けっこうある気がします。 この本が面白いのは、「数字の見方」を通して自分の立ち位置が少し冷静に見えるようになるところです。合計特殊出生率って実は未婚率の影響を強く受けるとか、独身人口はすでに高齢者人口より多いとか、ニュースだけでは拾いきれない前提が丁寧にほどかれていきます。煽られる側から、一歩引いて状況を読み解く側にまわる感覚が持てるんですよね。 もう一つ刺さったのは、「居場所=固定の所属」じゃなくていいという視点です。趣味のときだけ接続する関係も立派なコミュニティだし、見知らぬ人との短い会話でも役割が生まれる。行動したからやる気が出る、という逆転の発想も、頭では知っていたのに実際の生活に落とし込めていなかったなと感じました。誰かと強くつながれと言われるより、このくらい現実的な距離感のほうが正直ラクです。 「人付き合いに疲れたけど、一人で完結し続けるのもしんどい」と感じている人に、ほどよい視野の広がりをくれる一冊だと思います。
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