
温かいテクノロジー AIの見え方が変わる 人類のこれからが知れる 22世紀への知的冒険
林要
ライツ社 / 2023-05-19
この本について
AIやロボットの話題を目にするたびに、「便利になるのはいいけれど、自分の居場所はどうなるんだろう」と、なんとなく落ち着かない感覚が出てくることがあります。仕事が奪われるとか、大げさな話ではなくても、テクノロジーが進むほど人間の役割が薄まっていくような気がしてしまう。僕自身、そういう不安をずっと抱えてきました。 この本は、そのモヤモヤに対して「テクノロジーに何を期待するかの前に、人間が何を必要としているのか」を丁寧に見せてくれます。たとえば、LOVOTの開発過程の話は印象的で、「効率化に役立たないのに愛着が湧く存在」をどうつくるか、という発想が前提にあります。人を頼り、人に懐き、挨拶に喜ぶ。その“反応”を通じて、人間側の「自分は必要とされている」という感覚を思い出させる。効率よりも関係性をベースにしたテクノロジー、という視点はかなりあたたかいものでした。 また、「本物に似せすぎると違和感になる」「できることを全部やらないほうが自然になる」といった考え方も、仕事にも人間関係にも応用しやすい視点でした。AIがどう進化するか、よりも、人間がどう扱い、何を感じ取りたいのか。その順番で考えると、不安が少し落ち着きます。 未来に対して漠然とした不信感がある人、あるいはAIとどう向き合えばいいかを“人間側から”整理したい人に静かに刺さる本だと思います。
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