
桃を煮るひと
くどうれいん
ミシマ社 / 20230614
この本について
日々の生活で、なんとなく自分を責めすぎてしまう瞬間ってありませんか。料理を焦がしたり、予定を逃したり、ちょっとした判断ミスを引きずったり。別に大ごとじゃないのに、積み重なると心の中に小さな曇りが残るようなあの感じです。僕も同じで、うまくいかなかった日の帰り道につい深呼吸が増えてしまいます。 『桃を煮るひと』を読んでいると、そういう「うまくやれなかった自分」を少しだけ許せる感覚が生まれます。焦げた夕飯を「焦げちゃった」と笑う人に救われるくだりや、「頰張ろ」と読み間違えた瞬間に宿る、なんとも言えないやわらかさ。こういう視点に触れると、日常のミスや迷いが、ただの欠点じゃなくて生活の一部として扱えるようになるんですよね。また、屋台の味や苺のつぶつぶみたいな小さな感覚を丁寧に拾う文章が、忘れていた自分の感覚を呼び戻してくれるところも好きです。 なにより、この本は背中を押すというより、隣に座って「まあ、そんな日もあるよね」と一緒に息をついてくれるタイプ。誰かと食べる場所のハードルを下げてくれるような一節もあって、人との距離感に悩みがちな人にもしみます。 「日常の細かいところでよくつまずく人」にほど、そっと効く本だと思っています。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第2章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの25%が集中しています。
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