
うたうおばけ (講談社文庫)
くどうれいん
講談社 / 2023-10-13
この本について
仕事のことで落ち込んだり、人間関係で自分だけが取り残されたような気がしたり、日常のどこに立っていればいいのかよく分からなくなる瞬間ってありますよね。大きな物語の主人公になれと言われても、そんなスイッチ急に入れられないよ…と私もよく思います。 『うたうおばけ』は、そういう「なんとなくうまくいかない日の自分」を無理に奮い立たせる本ではありません。むしろ、生活の中でふと訪れるシーンを丁寧に拾い上げてくれる感じがあります。生活は死ぬまで続く長い実話で、その途中で急にやってくる心の引っかかりを、そのままの形で見せてくれるんです。自分なんて、と思ってしまう感情も、誰かを好きだった自分と折り合えない時間も、ぜんぶ「そこにあっていいもの」として扱われているのが救いでした。 読みながら、他人の人生を覗き見しているようで、でも気がつくと自分の生活のなかにも似たような瞬間が積み重なっていることにハッとします。世間が求めてくる立派な物語から距離を置いて、「今日はこれでいいかもしれない」と思える余白をくれる本だと思います。特に、日常の小さなズレや痛みを抱えたまま歩いている人に刺さりやすい一冊です。 派手なことは書いていないのに、読み終わると妙に呼吸がしやすくなる。不思議ですが、私はそんな風に受け取りました。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第1章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの26%が集中しています。
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