
トゥモロー・アンド・トゥモロー・アンド・トゥモロー
ガブリエル ゼヴィン and 池田 真紀子
早川書房 / 2023-10-06
この本について
仕事でも創作でも、人と組むと途端に気持ちがざわつくことがあります。自分のアイデアが相手のものになっていく感じとか、言葉にできない嫉妬や距離の揺れとか。うまくいっているはずなのに、どこか自分が自分でなくなるような感覚を抱くときもあります。そういうときに、この物語の抜粋が異様に響く理由がわかる気がします。 この本が効くのは、まず「遊び」の見え方が少し変わるところです。大人になっても成長しない部分があって、それこそが絶望から人を守る、と語られる場面は、うまく頑張れない日の言い訳ではなく、静かな救いとして残ります。それに、誰かと一緒に何かを作ることのリスクと喜びがとても具体的に描かれていて、協働って実は恋愛より複雑で、時にそれ以上に親密なんだと思わされます。さらに、失った人の“脳内のバージョン”がゆっくり薄れていく描写は、生々しいのに優しくて、喪失を経験した人ほど深く頷くはずです。 同じ場所に立ちながら、相手がもう同じ人じゃないように感じるとき、この本はその揺れを説明しようとはしません。ただ、そういう瞬間を誰かも確かに通っている、と教えてくれます。創作に限らず、人との距離に悩みがちな人に静かに刺さる物語です。
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