
善と悪の生物学(上) 何がヒトを動かしているのか
ロバート・M・サポルスキー、大田 直子
NHK出版 / 2023-10-26
この本について
最近、誰かの行動を見て「なんでこうなるんだ…?」と首をかしげることが増えていませんか。自分の判断も、ストレスがかかった瞬間だけ妙にズレたりして、後から落ち込むことがある。理性とか性格とかで説明できると思ってきたものが、どうにも説明しきれない。そんなモヤモヤにこの本はちょうどいい距離感で踏み込んできます。 読んでみて強く感じたのは、「行動をホルモンか心理かで切り分けても意味がない」という視点です。テストステロンが攻撃を生むんじゃなくて、攻撃が“得になる環境”のときにだけ増幅される、という話は現実の職場でもすぐ思い当たるし、怒りで判断を誤るのは性格が弱いからではなく、前頭葉がストレスでまともに働かなくなるからだ、という説明も肩の力が抜けます。さらに、不確実な状況ほどドーパミンが強く働き、妙に「動きたくなる」あの感覚まで、生物学の言葉で整理されていきます。 結局、人の行動は一つの要因で決まらず、脳の層やホルモンや文化が絡み合った“条件づき”のものなんだと腑に落ちる。だからこそ、誰かを単純に責めたり、自分の癖を「性格だから」と片づけたりしなくなるのが、この本の効き目です。 自分や他人の行動の裏側を、生物学から落ち着いて見直したい人に刺さる一冊だと思います。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第4章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの27%が集中しています。
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