
ブッダという男 ――初期仏典を読みとく (ちくま新書)
清水俊史
筑摩書房 / 20231207
この本について
「ブッダって結局どんな人だったのか」という素朴な疑問って、いざ調べようとすると逆に混乱しませんか。歴史のブッダ、神話のブッダ、研究者が描くブッダ……どれが本当なのか分からなくて、途中で読む気が萎えることも多いと思います。僕も同じで、昔は「矛盾が多いのは自分の理解が浅いからだ」と思い込んでいました。 この本がおもしろいのは、そうした“混乱そのもの”に正面から向き合ってくれるところです。たとえば、初期仏典がそもそも暗唱の文化から生まれ、教団は当初ブッダの生涯にほとんど関心を持っていなかったという事実を示されると、「矛盾があるのは前提なんだ」と肩の力が抜けます。また、後世につくられた物語や研究者の願望を“ブッダ像”として切り分けたうえで、初期仏典の中にある言葉だけを手掛かりに、歴史と神話のあいだの溝をどう読むかを丁寧に示してくれます。これによって、ブッダの悟りが当時の世界観をどう壊したのか、という具体的な輪郭がようやくつかめてきます。 いまある情報のどれを信用していいか分からず、手を動かしようがなくなっている人に刺さる本です。「一度リセットして、最初の資料から読み直したい」と感じているとき、かなり心強い相棒になります。
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