
ビリー・サマーズ 下 (文春e-book)
スティーヴン・キング、白石 朗
文藝春秋 / 2024-04-08
この本について
仕事でも生活でも、気づけば「正しい判断をしなきゃ」とか「間違えたら終わるんじゃないか」とか、妙に肩に力が入ってしまうことがあります。自分の選択に自信が持てないまま、流されるように日々をこなしてしまう感じ。僕もそんな時期が長くて、余裕がないときほど世界の色が急に薄くなるんですよね。 『ビリー・サマーズ 下』を読んでいると、その“余裕のなさ”に風穴が空く瞬間があります。銃や追跡のスリルが中心の物語ではあるのに、読者が保存しているのは、登場人物がふと音楽に手を止めたり、似合わないシャツに悩んだり、危険な場面なのにフランクフルトが転がる様子を見てしまったりという、ごく生活の手触りが戻ってくる場面なんです。混乱の中でも、自分の感覚を取り戻す瞬間ってこういうものだよなと、静かに思い出させてくれます。 さらに、アリスの「永遠が見えるの」という無邪気さや、バッキーの“九月の朝のルックス”という言い回し、あるいは傷や痛みについての静かな告白など、物語の外側で生きている僕らにも触れる言葉が多い。暴力や恐怖を描きつつ、その裏にある“人の壊れやすさ”と“それでも続く日常”が丁寧に書かれていて、読後に少しだけ視界が広がる感覚があります。 派手なカタルシスではなく、混沌の最中でも人としての感覚を失いたくない人に刺さる一冊だと思います。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第3章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの25%が集中しています。
読書の順序
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