
賃金とは何か 職務給の蹉跌と所属給の呪縛 (朝日新書)
濱口 桂一郎
朝日新聞出版 / 2024-07-12
この本について
賃上げのニュースを見ても、自分の給料がどう決まっているのかは結局よく分からないまま。会社の制度も毎年の春闘の話も、どこか自分の日常とつながらない感じがして、説明を聞いても霧が晴れない…そんなモヤモヤをよく聞きます。僕自身、職務給とか定期昇給とか言われても「で、実際なにがどう動いているのか」が腑に落ちずにいました。 この本は、いま議論されている職務給と所属給の対立を、歴史の流れの中で見せてくれます。たとえば、ベースアップと定期昇給がどう扱われてきたのか、企業側がどんな理屈で賃金を抑えようとしてきたのか、その試みがなぜ成功したり失敗したりしたのか。抜粋からも分かる通り、制度の言葉だけを追うのではなく、その背後にある「日本企業がずっと抱えていた事情」を丁寧に追っています。それを知ると、いまの会社で起きている賃金改定の意味が急に立体的に見えてきます。 個人的に効いたのは、ジョブ型が「新しい制度」ではなく、何度も持ち上がっては消えていったという事実です。これを知ると、流行り言葉に振り回されず、自分がいる職場で何が現実的に変わるのかを落ち着いて考えられるようになりました。制度そのものより、年齢構成や採用の仕組みがどう賃金に影響するのか、といった視点も得られます。 「自分の給料がなぜこうなっているのか、納得感がほしい人」に静かに刺さる本です。
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