
小説
野崎まど
文響社 / 2021-06-03
この本について
小説を読んでいて、「こんなに好きなのに、これを現実にどう繋げればいいのか分からない」と立ち止まることがありませんか。仕事にも人生にも直接効くわけじゃないのに、読むことだけは手放せない。けれど、それが何の意味になるのか言語化できず、どこか後ろめたさが残る。自分もずっとその迷いを抱えていました。 野崎まどの『小説』は、そのモヤモヤに真正面から触れてくる本でした。ここで描かれるのは「噓」としてのフィクションが、どうやって人の内側を増やしていくのかという話です。噓だからこそ材料はいらなくて、噓だからこそ心の内側だけを豊かにしていける。読んでいるあいだに自分の中で意味が増えていく感覚が、具体的なシーンと一緒に立ち上がってくるんです。誰かと本の話を交わす時間の温度や、読んだあとに自分の心が少しだけ別の形になっているあの感じまで、ちゃんと描かれている。 そして個人的に響いたのは、「読むだけじゃ駄目なのか」という問いへの向き合い方でした。行動に直結しなくても、現実を変えなくても、内側が増えるというだけで十分にひとつの営みになりうる。読書をしている自分を、外の尺度で評価しなくていいんだと少し呼吸がしやすくなります。 フィクションに救われてきた人、物語が自分の一部になっている感覚を言葉にできずにいた人には、特に静かに刺さると思います。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第10章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの27%が集中しています。
読書の順序
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