
翻訳をジェンダーする (ちくまプリマー新書)
古川弘子
筑摩書房 / 20240911
この本について
「なんで自分が使っている言葉って、こんなにも“当たり前”に感じるんだろう」と思うことがあります。誰かの発言に違和感を覚えるのに、自分の感覚の根っこはよくわからない。翻訳小説を読むときも、登場人物の口調が気になっても理由がつかめないまま読み進めてしまう。そんなモヤモヤを抱えたまま日々過ごしている人は多いと思います。 『翻訳をジェンダーする』は、その“当たり前”に入り込んでいる視点をそっと指でつまみ上げてくれる本でした。戦後からずっと、翻訳の中の外国人女性がもっとも典型的な「女ことば」を話してきたという指摘は、読み慣れたはずの文章の輪郭を一度取り外して見直すような感覚があります。自分の経験や学びを通して身についた見方は、コンタクトレンズみたいに外しにくい。でも、だからこそ気づかないまま広まっていく考えがあるんだと実感しました。 読み進めるうちに、翻訳で選ばれる語尾ひとつが、その社会にある前提や価値観を映していることが見えてきます。大きな理論を振りかざすというより、日常で何度も触れてきた言葉の裏側を静かに照らす感じで、読後にじわっと効いてきます。「自分にとって当たり前なことは、目に見えない」という一文が刺さる人には特に向いていると思います。 言葉への違和感の理由を知りたい人、翻訳を読みながらうまく言語化できない引っかかりを抱えてきた人には、かなりしっくりくる一冊です。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第10章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの33%が集中しています。
読書の順序
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