
やさしいがつづかない
稲垣 諭
この本について
人にやさしくしたい気持ちはあるのに、続けられない。踏み込みすぎて相手を傷つけるのが怖かったり、逆に自分が軽く扱われるのが不安で黙ってしまったり。忙しいときは特に、心に余裕がなくなって、身近な人ほどコントロールしたくなってしまう。そんな自分に後からモヤッとすること、けっこうあると思います。僕もずっと同じところでつまずいてきました。 この本がおもしろいのは、「やさしさ」を感情ではなく“コントロールの手放し方”として扱っているところです。相手に委ねることと、その結果を引き受けること。この二つがそろってやっと本当の意味でのやさしさになる、という視点は、自分のふるまいを具体的に振り返るきっかけになります。また、“やさしくなれないとき”の心の状態を丁寧にほどいてくれるので、単に「もっとやさしくしよう」と気合で乗り切る話ではないところが救いでした。やさしさが習慣としてつづかない理由を、責めずに言語化してくれる感覚があります。 身近な人との会話に踏み込めない人、気軽に「いいよ」と言ったあとで後悔しがちな人、そして“やさしくある自分”に疲れてしまった人には特に刺さると思います。読んでみると、自分の中でずっと絡まっていた糸がゆっくりほどけていくような一冊でした。
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