
新装版 ソフィーの世界 下 ―哲学者からの不思議な手紙
ヨースタイン・ ゴルデル, 池田 香代子, and 須田 朗
NHK出版 / 2024-05-21
この本について
最近、物ごとをどう判断すればいいのか、根っこが揺れるような感覚が続くことがあります。常識と言われるものも、人の善悪の基準も、時代や立場で平気で形が変わる。じゃあ自分は何をよりどころに考えればいいのか…と迷ったまま手が止まることがあるんですよね。 『ソフィーの世界』の下巻は、その「揺れ」を一段落ち着けてくれる感じがありました。たとえば、マルクスが言う下部構造と上部構造の話に触れると、自分の考え方がどれだけ環境に左右されているかが見えてきて、悩みが“個人の弱さ”じゃなく“歴史的な流れの中での反応”として理解できる。その視点だけでも、少し呼吸がしやすくなります。 一方、カントやヘーゲルのところでは「人は世界をそのまま知れない」という前提や、「認識は常に発展していく」という考えが出てきて、今の自分の迷いや未熟さに妙に説明がつくんです。できていない自分を責めるより、“人類全体がずっとやってきた試行錯誤の延長に自分もいる”と見えるだけで、足が前に出しやすくなる。 この本は、悩みを即解決してくれる類のものではありません。でも、自分の考え方がどんな歴史や思想の流れの上に立っているのかを知ることで、判断の軸が少しだけ太くなる。その変化が欲しい人には刺さると思います。
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