
彼女たちの売春(ワリキリ) (SPA!BOOKS)
荻上 チキ
扶桑社 / 2012-11
この本について
誰かのしんどさに触れたとき、「なんでそこまで追い詰められてしまうんだろう」と思いながらも、うまく言語化できないことってありませんか。頭では“構造の問題”とわかっていても、目の前の出来事をどう捉えたらいいのか迷うことが僕にもよくあります。 『彼女たちの売春』は、そのモヤモヤに対して一気に答えをくれる本ではありません。でも、見えないはずの背景が「ここまで具体的なのか」と実感できるので、目の前の現象を個人の選択だけで語れない理由が腑に落ちていきます。たとえば、なぜ“望まない売春”に至るのかを複数の排除の積として捉える視点や、女性だけでなく男性側のデータまで丁寧に拾う姿勢が、思考の偏りをほぐしてくれる感覚がありました。また、「取り締まれば解決する」という短絡的な考え方がなぜ現実に合わないのかも、当事者の生活動線を追うことで自然と理解できていきます。 淡々とした取材記録なのに、読み進めるほど“知らなかったとは言えない”気持ちが静かに積み上がる本です。問題を語るときの距離感がわからなくなる人、あるいは社会問題をどう自分ごととして扱えばいいのか迷っている人には、特に刺さると思います。 重いテーマですが、世界を少しだけ正確に見られるようになる一冊でした。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第10章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの29%が集中しています。
読書の順序
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