
午前零時のサンドリヨン (創元推理文庫)
相沢 沙呼
東京創元社 / 2012-10-26
この本について
最近、人との距離感に疲れたり、自分の気持ちの正体がよく分からなくなることってありませんか。好きかどうか以前に、相手の本当の姿を知らないまま気持ちが動いてしまう自分に戸惑ったり、他人の評価に揺らいでしまったり。同じ毎日を過ごしているはずなのに、ふとした瞬間に見えてくるものが違って「自分って何を見てるんだろう」と立ち止まってしまうようなあの感じです。 『午前零時のサンドリヨン』が効いてくるのは、まさにそういう迷いの手触りを丁寧にすくい取ってくれるところだと思います。惹かれるけれどよく知らない誰かに向けて揺れる気持ちとか、知ろうとして初めてぶつかる現実の重さとか、気づかないふりをしてきた感情にゆっくり光を当てていく過程が、とても静かで現実的です。それに、ただ耐えることよりも「自分を変えたいと思う気持ち」を一歩だけ前に進めてくれる描写があるのも、この物語の強さだと感じました。 誰かと比べての幸せじゃなくて、自分の中にある本当の気持ちを確かめたい人に刺さる一冊です。読んでいると、周りに振り回されていた視点が少しだけ自分の中心に戻ってくるような、そんな読後感がありました。
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