
言葉・狂気・エロス 無意識の深みにうごめくもの (講談社学術文庫)
丸山圭三郎
講談社 / 2007-10-10
この本について
日常で感じる「言葉ってこんなに窮屈だったっけ」というモヤモヤや、自分の考えがどうにも二択に押し込められていく窮屈さ。仕事でも人間関係でも、判断がAか非Aかの世界に寄っていくと、どこか自分の感覚だけ取り残されていくような気がします。僕自身、そういう時に限って「なんでこんなに息が詰まるんだろう」と考え込んでしまいます。 丸山圭三郎『言葉・狂気・エロス』は、その閉塞感を真正面から揺さぶってくる本でした。例えば、日本語や英語のリズムがまったく違うという話は、普段「意味」ばかり追っている言葉に、身体の揺れのような別の次元があることを思い出させます。また、言葉が本来もっていた多義性を取り戻す、という指摘は、日常の会話で削り落としてきた感情の幅をそっと開いてくれます。さらに、自分たちが消費しているものの多くが実は〈気分〉だという視点に触れると、仕事の成果や効率とは別に、人間の営みには説明しきれない揺らぎがあることを受け止めやすくなるはずです。 この本は決して「答え」をくれるタイプではありません。でも、境界線で固めすぎた思考がほぐれ、世界がもう少し流動的に見えるきっかけにはなります。言葉・無意識・文化のあいだで迷子になった経験のある人には、特に静かに刺さると思います。
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