
敦煌(新潮文庫)
井上 靖
講談社 / 1991-05-08
この本について
最近、自分の選択がこれでよかったのか、どこかで違う道があったんじゃないか……と考え込むことが増えていませんか。やり直せるならやり直したいけれど、そんなことはできないと分かっている。その間でずっと宙ぶらりんになる時があります。僕もよくそこで足が止まります。 井上靖『敦煌』の抜粋を眺めていると、行徳の「水が高処から低処へ流れるように今日まで来た」という感覚に、同じ場所を歩いているような気持ちになりました。自分の選択を誇るわけでも、後悔で押しつぶされるわけでもなく、「与えられた条件の中で、自分はこう流れてきた」という静かな受け止め方。これが一度胸に入ると、過去の分岐を責め続ける癖が少し緩むように思います。 さらに、行徳が経典を守る中で「財宝や命は持ち主がいるけれど、経典は誰のものでもない。ただ焼けずにそこにあるだけで価値がある」と感じる場面にも、妙な救いがあります。何を守るべきか分からなくなる日々の中で、自分の力ではどうにもならないものに意味を求めすぎなくていいのだと、ふっと力が抜けるんです。そして回鶻の女を思う行徳の静謐な心のあり方は、人との関係が形を変えても残るものがある、そんな小さな確信を与えてくれます。 過去を悔やみがちな人、無意味さの波に呑まれやすい人に静かに響く物語だと思います。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第5章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの35%が集中しています。
読書の順序
この本に似ている本
すべて見る arrow_right_alt書籍情報(出版社紹介・目次)expand_more
出版社による紹介
BookNotion をお使いの方へ
この本の指標は、あなたの本棚でも見られます
このページで見ている読者数・精読度・完走率は、あなた自身の本にも表示できます。BookNotion をお使いなら、下のリンクを開くだけで自分のデータが出ます(ログイン操作は不要です)。
読んだ内容を、もう忘れない。
BookNotion Zなら、Kindleのハイライトを自動で保存・整理。Notionにエクスポートして、いつでも振り返れます。
クレジットカード不要








