
イリヤの空、UFOの夏 その1 (電撃文庫)
秋山 瑞人 and 駒都 えーじ
KADOKAWA / 2001-10-10
この本について
最近、日常がじわじわ薄くなる感覚を味わうことがあります。仕事でも生活でも、一応うまく回ってはいるのに、どこか「穴」が空いたような落ち着かなさが残る。言葉にしづらい不安を抱えたまま動いていると、ふと「あの頃の感覚だけは確かだった気がするな」と思う瞬間があるんですよね。 『イリヤの空、UFOの夏 その1』の抜粋を読むと、まさにその「言葉にならない揺れ」を丁寧に拾ってくれる物語だと感じます。夜のプールの異様な静けさや、夏休みの終わりを告げる学校の匂い、意味があるようでない会話の空白。そういうものに敏感な読者が保存している部分を見ていると、この作品は派手な展開よりも、日常がひっくり返る“直前の手触り”を描く力が強いんだとあらためて思います。 読んでいると、現実と非現実の境界が曖昧になる瞬間の怖さや心地よさが、不思議と自分の生活にも重なってくるんです。例えば、説明できない不安を誰かにうまく伝えられないこととか、言い訳の余地を残しながらも本気で心が動いてしまう場面とか。あの感覚を、言葉に頼りすぎずに思い出させてくれるのがこの本の効き方だと思います。 こんな人に刺さると思います。日常を生きているはずなのに、ときどき「ここじゃないどこか」を見てしまう人。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第1章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの54%が集中しています。
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