
行動分析学入門 ――ヒトの行動の思いがけない理由 (集英社新書)
杉山尚子
この本について
仕事でも家庭でも、人の行動にイラッとした時って、「なんであの人はいつもこうなんだろう」とか「自分は意志が弱いのかも」とか、つい“性格”や“内面”のせいにしたくなることが多いですよね。僕もよくそこで行き詰まっていたんですが、この本を読むと、その考え方自体がちょっとズレていたのかもしれないと感じました。 著者が繰り返し示しているのは、行動の原因は心の奥ではなく、起きた行動の「直前と直後」にあるという視点です。例えば、上司が怒鳴るのが止まらないのは、怒鳴るたびに嫌な沈黙が消えるとか、相手がビクッとするとか、そういう“行動直後の変化”が積み重なって強化されているから。性格云々より、環境と効果のセットのほうがよほど説明になる。この考え方に触れると、相手を責める気持ちが少しやわらぐし、自分の癖にも因果関係のヒントが見えてきます。 もう一つ面白いのは、「行動とは死人にはできない活動」という定義。やる気とか性格というラベルから離れて、いま目の前で具体的に起きている行動と変化だけを見ると、改善の手がかりが急に現実的になるんです。やめたい行動がある時も、足りないのは意志ではなく、随伴性の調整だったりします。 内面論で自分や他人を追い詰めがちな人に、とくに刺さる本だと思います。行動の見方が少し変わるだけで、人間関係もセルフマネジメントもだいぶ楽になります。
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