
物語 食の文化 美味い話、味な知識 (中公新書)
北岡正三郎
中央公論新社 / 2011-06
この本について
食べものって、毎日向き合うのに「なぜそうなったのか」は意外と知らないままですよね。米中心の食文化がいつから当たり前になったのかとか、寿司が保存食だった時代の姿とか、知る必要はないけれど、どこか気になる。僕も仕事で煮詰まったとき、こういう「背景」を知ることで少し呼吸が楽になることがあって、この本を手に取りました。 読んでみて気づいたのは、今の食卓に並ぶものの多くが、気まぐれではなく歴史の積み重ねでできあがっているということです。江戸時代の米増産の話は、あの田園風景が“自然の姿”ではなく、技術と行政が作り上げた結果だと教えてくれますし、寿司が長期保存から短期発酵へとシフトした経緯を知ると、目の前の一貫が急に違う顔を見せてくれます。さらに乳文化が日本で一度栄えて消えた話や、ウナギの料理法が時代ごとに変わってきた流れなど、「今あるものの偶然性」を実感させてくれます。 歴史を学ぶというより、「日常で無意識に選んでいるものの正体を知る」感覚に近いので、堅苦しさはありません。食べ物の背景を知ると、ありがたみよりも、むしろ“人間ってこうやって工夫してきたんだな”という安心みたいなものが残ります。 今の暮らしにちょっとした厚みが欲しい人に、静かに刺さる一冊です。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第1章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの34%が集中しています。
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