
リクルートという奇跡
藤原和博
文藝春秋 / 2005-09-10
この本について
仕事で相手に向き合っているつもりでも、「自分は本当に腹をくくれているのか」「相手の課題をちゃんと見に行けているのか」と不安になる瞬間ってありますよね。形だけ商談をこなしても、相手の本音にたどりつけないことが続くと、どこで踏ん張ればいいのか分からなくなる。僕自身もよくその沼に落ちます。 この本で印象的なのは、リクルートの人たちが“組織の肩書き”ではなく“一担当者としての覚悟”で相手に向き合っていたというところです。引き継ぎに行ったその日のうちに担当者へ電話し直し、自分の足で会いに行く姿勢。部長同士の会話だけで終わらせず、現場の担当同士で関係をつくり直すことの意味。こういう地味だけど本質的な行動が、営業とかビジネス以前に「人として向き合うとは何か」を思い出させてくれます。 もう一つ刺さるのは、「一年に一人、自分の結婚式に来てくれるお客さんをつくる」という話。きれいごとではなく、そこまでの関係をつくろうと思えば百倍の人数に会う必要があるというリアルさがあって、自分がどこまで本気で人と関係を築こうとしていたか、自然と振り返らされます。背中を強く押すというより、“自分はどうしたいのか”を静かに問い返してくるような本です。 今の仕事を「ただの業務」にしたくない人に、じわっと刺さると思います。
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