
詩のこころを読む (岩波ジュニア新書)
茨木 のり子
この本について
気づくと、自分の気持ちをうまくつかめなくなっている瞬間ってあります。何か大事なものを忘れている気はするのに、思い出せそうで思い出せない。大人になるほど、そのぼんやりした欠落をごまかすのがうまくなってしまうだけで、本当はずっとそばに残っている感覚なのかもしれません。 『詩のこころを読む』を読むと、その「忘れもの」の正体に少しだけ触れられます。詩が教えてくれるのは、きれいごとではなく、光と影の両方を抱えたまま生きている自分を見つめ直す視点でした。受身で与えられた生を、どこかで自分のものとして引き受け直す瞬間がある、という話には、年齢を重ねたからこそ刺さるものがありますし、過去は消えたわけではなく、脈や息づかいと一緒に今も生きているという指摘には、説明できない安心のようなものがありました。 また、詩が「心を解き放つ」というのを、気取った言葉ではなく、具体的な体験として語ってくれるのもこの本の魅力でした。恋をしたとき風景が一変する感じや、手の中に先祖の気配を感じるような瞬間。どれも自分の記憶の奥にしまっていたものをそっと引き出してくれる感触があるんです。 思考が行き詰まっている人よりも、「なんとなく自分が曇ってきた気がする」と感じている人にこそ、静かに刺さる本だと思います。詩に詳しくなくても大丈夫で、むしろ迷っているときほど言葉がまっすぐ入ってきます。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第1章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの42%が集中しています。
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