
しあわせの理由
グレッグ イーガン and 山岸 真
この本について
仕事でも生活でも、「正しい選択って何なんだろう」と立ち止まる瞬間があると思います。感情と理屈が食い違ったり、自分の中に同時に存在する矛盾をどう扱えばいいのか分からなくなったり。頭では割り切れないのに、行動だけは迫られる。ああいうモヤモヤに、僕自身もよくつかまります。 『しあわせの理由』を読むと、その葛藤がいきなり整理されるわけではありません。ただ、主人公たちが抱える「矛盾した気持ちのまま進むしかない場面」が丁寧に描かれていて、自分の中の曖昧さをそのまま置いておく勇気をもらえるんです。愛情と怒りが同居する感じとか、何が正しいかわからないまま選ぶしかない状況とか、読んでいるとこちらの胸の奥がざわつくけれど、そのざわつきごと肯定してくれるような感触があります。また、幸福を“操作可能な感情”として扱う視点や、身体と脳の切り離しの問題が、普段の「なんとなく大丈夫でいたい」という自分の感覚を揺さぶってくれるのも大きかったです。 物語はSFですが、テーマそのものは非常に生活に近くて、「合理性に振り回されながらも大事にしたい気持ちがある人」に静かに刺さると思います。僕も読みながら、自分の選択がいつも正しくなくても、生き続けるうえではそれで十分なんじゃないか、と少しだけ肩の力が抜けました。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第1章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの41%が集中しています。
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