
新書太閤記 全9巻合本版
吉川英治
講談社
この本について
仕事でも人間関係でも、いまの自分の立ち位置がしっくり来ないときってありますよね。頑張っているはずなのに前に進んでいる実感が薄いとか、役割に気持ちが追いつかないとか。僕もよくそこで止まってしまいます。 吉川英治の『新書太閤記』を読むと、そんな停滞した気分が少しずつ動き出します。藤吉郎の「なりきる」という姿勢は、勢いのある言葉ではなくて、もっと静かで生活に根差した覚悟なんですよね。草履取りでも台所でも、いま目の前の役割に体ごと入っていく。その姿が、先のために現在を雑に扱わない大事さをやさしく思い出させてくれます。また、人の情けに震える場面が多くて、自分も誰かの好意をちゃんと受け取り直したいと思えてくる。恩義とか信頼って、言葉よりも態度でつながるものなんだなと。 そして、逆境の中でも「不幸だと思ったことがない」という藤吉郎の感覚は、前向きさというより、世界との距離の取り方が健康なんですよね。無理にポジティブになるんじゃなくて、自分の小さな一歩が「次の卵になる」と信じられる感覚。これは落ち込んだときほど効きます。 いまの仕事や役割に意味を見いだせずにいる人、あるいは他人の厚意をどう受け取っていいか分からない人に、静かに刺さる一冊だと思います。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第10章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの30%が集中しています。
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