
妻を帽子とまちがえた男 (ハヤカワ文庫NF)
オリヴァー サックス, 高見 幸郎, and 金沢 泰子
この本について
仕事でも生活でも、「自分がいま何を感じているのか」「なぜこんな反応をしてしまうのか」がうまくつかめないときがあります。まわりから見る自分と、自分が感じている自分のズレにモヤっとしたまま、原因がつかめないことも多いと思います。 サックスの『妻を帽子とまちがえた男』を読んでいて感じたのは、人は「機能が失われたから変になる」という単純な話ではなく、失われたものを埋め合わせようとして、必死に工夫したり、奇妙な行動に向かったりする“反応”のほうにこそ、その人らしさがにじむということでした。抽象的な理屈ではなく、患者が世界をどう見ているか、どう手探りで自分を立て直そうとしているかが、生々しいエピソードとして出てきます。特に、外からは理解しづらい内面の在り方があり、判断や感情や衝動といった“主体の根っこ”がどれほど個別的かを読んでいて実感します。 この本は、悩みを一気に解決してくれるタイプではありませんが、「人はそんなにわかりやすくできていないのに、なんとなく“正しく”振る舞おうとして無理してたかも」と気づかせてくれます。自分の違和感をもう少し丁寧に扱いたい人、あるいは他人の行動の背景を急いで決めつけてしまいがちな人には、静かに効いてくる一冊だと思います。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第8章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの23%が集中しています。
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