
脳はいいかげんにできている その場しのぎの進化が生んだ人間らしさ (河出文庫)
デイヴィッド・J・リンデン and 夏目大
この本について
最近、「なんで自分の考えや感情ってこんなにブレるんだろう」とか、「もっと論理的に判断できたら楽なのに」と思うことが多くて、ちょっと自己嫌悪になることがあります。でもこの本を読んでみると、そもそも脳のつくりが“きっちり最適化されていない”どころか、“その場しのぎの寄せ集め”なんだという前提に立てて、気が抜けるような安心感がありました。 特に刺さったのは、私たちが見ている世界も、感じている感情も、脳が都合よく編集した「物語」にすぎないという話です。眼球が細切れの情報しか送っていないのに、脳があとから空白を埋めて“連続して見えている気分”を作り上げている。こういう仕組みを知ると、自分の判断が揺れるのは怠け心ではなく、そもそも脳がそういう仕様だからなんだと腑に落ちます。 もうひとつ大きかったのが、共感の話。他人の痛みを見ただけで脳が反応する作りになっているのは、「弱さに振り回されてる自分」じゃなくて、人類が集団で生きてきた結果なんだとわかる。性格が知力よりも遺伝の影響を強く受けるという研究もあって、「変わりにくさ」すら自分だけの問題じゃないと知れるのも救いでした。 自分の感情や判断のクセに振り回されがちな人、そしてそれを「努力不足」と決めつけてしまいがちな人には、静かに効く一冊だと思います。
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