
建築家、走る(新潮文庫)
隈 研吾
この本について
仕事でも暮らしでも、「自分のやっていることが地に足ついている感じがしないな」と思う日ってあります。合理化とか効率とか、どこへ行っても似たような考え方ばかりで、結局どこに立っているのか分からなくなるあの感覚です。ぼく自身もよくそこで迷います。 『建築家、走る』は、建築の話を軸にしながら、その「どこに立つのか」という問いをゆっくり掘っていく本です。たとえば、20世紀が「場所と建築を切り離す時代」だったという視点は、いまの働き方や価値観にもそのまま響きます。効率化の裏で失われてきたものが何なのか、丁寧に言語化してくれるんです。また、右手を怪我して“受動的な存在”になったとき初めて世界が違って見えたという話は、自分のペースを取り戻す感覚に近くて、読みながら何度も手が止まりました。 さらに、木造とコンクリートの「時間の流れ方」の違いが語られるところは、仕事の進め方にも置きかえやすいです。完成した瞬間に終わるものと、完成してから始まるもの。どちらがいい悪いではなく、自分が今、どちらの時間を生きているのかを振り返るきっかけになります。 建築に詳しくなくても大丈夫で、「環境に合わせて生きるってどういうことだろう」と考え始めている人に特に合うと思います。難しい答えは示されませんが、読むと少しだけ呼吸が深くなるような一冊でした。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第3章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの18%が集中しています。
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