
さがしもの(新潮文庫)
角田 光代
新潮社 / 2008-11-01
この本について
人間関係で妙に気をつかいすぎたり、まだ起きてもいないことを勝手に想像してしんどくなるときってありますよね。相手の機嫌や未来の展開を読むことにエネルギーを取られすぎて、本題からどんどん離れていく感じ。僕もよくそこにハマってしまいます。 角田光代さんの『さがしもの』を読んでいると、その「考えすぎて疲れる感じ」をそっとほどいてくれるような瞬間が何度もありました。たとえば、起きてもいない別れを恐れて身動きが取れなくなるあの感じに対して、「できごとは起こってしまえばただのできごとなんだ」という視点が出てきます。これは大げさな慰めではなく、日常の小さな場面でもふっと効いてくる言葉でした。そして、酸素マスク越しに「むかつくことはむかつくと言ったほうがいい」と話すおばあちゃんのシーン。あれは、人との関係をきれいに整えようとしすぎる自分に、ちょっと肩の力を抜けと言われているようで、刺さる人には深く刺さると思います。 この短編集は、状況をドラマチックに変えるというより、日々の思考の癖を少し横から照らしてくれる感じの本です。相手や未来を過度に想像して自分だけ疲れてしまうタイプの人には、特に静かに効いてくると思います。自分の中でざわついていたものが、読み終わる頃には少し輪郭を変えているはずです。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第1章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの40%が集中しています。
読書の順序
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