
たのしごとデザイン論
カイシトモヤ
この本について
デザインに関わっていると、「なんとなく良さそうなんだけど、なぜそう思うのか説明できない」とか、「自分の強みって本当にあるのかな」といったモヤモヤがつきまといますよね。僕も制作に向き合うたびに、感覚と言語のあいだで迷子になります。 この本が良いのは、その迷いを勢いで消すのではなく、目の前の制作物をどう観察し、どう捉え直せば前に進めるのかを具体的に示してくれるところです。たとえば、街で見かけたポスターを「いいデザインだな」で終わらせず、どの部分に心が動いたのかを自分の言葉で拾っていくプロセス。これを続けていくと、自分がどんな要素に反応する人間なのかが少しずつ見えてきます。また、逆転や視点変換のパートは、思い込みに縛られているときに実際に手を動かして思考をずらすときの手がかりになります。 もう一つ助かったのは、「与件との付き合い方」の話です。制約がある案件ほどやりづらいと思っていたんですが、むしろ制約そのものがヒントになりうるという視点を持てるようになりました。自由さより、条件の中でどう工夫するかに頭を使う方が、結果的に自分らしさがにじむという感覚にも納得があります。 自分の感性や思考を“言える形”にしたいデザイナーには特に刺さる本だと思います。普段の観察や仕事の進め方が少しずつ変わっていくタイプの本です。
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