
いちまいの絵 生きているうちに見るべき名画 (集英社新書)
原田マハ
この本について
なんとなく忙しさに流されて、目の前のものを「ちゃんと見る」ことが減っていく時期ってありますよね。仕事でも日常でも、判断ばかりが増えて、景色や物事の奥行きに気づけなくなるというか。僕もそうで、ふと立ち止まったときに、自分の感性がどこか平板になってる気がしてモヤっとしていました。 原田マハさんの『いちまいの絵』は、その感覚を無理なくほぐしてくれる本でした。たとえば、森羅万象をあるがままに受け止めようとした人々が、やがて「人間を人間らしく」描くルネサンスを開いたという話。これを読んで、観察って技術の話じゃなくて、そもそもの姿勢なのだと腑に落ちました。自分の仕事でも、相手を“らしく”見るだけでアウトプットが変わる瞬間があります。もうひとつ、モネが「睡蓮」を展示する環境にとことんこだわった話。自然光の入り方や、作品以外を置かない空間の静けさにまで意図があると知ると、ものづくりの根っこにある「受け取り手にどう感じてほしいか」という視点を思い出させてくれます。 さらに、昔の絵が“商品”で、作者名すら書かれない時代が長かったという事実も、今の「作品」中心の価値観を見直すきっかけになります。自分の名前を残すことより、誰かに役立つために作られていた時代があったと知ると、肩の力が少し抜けるんですよね。 自分の感性が固まってきた気がする人、視点を少し入れ替えたい人には静かに効く一冊だと思います。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第4章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの31%が集中しています。
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