
死刑にいたる病 (ハヤカワ文庫JA)
櫛木 理宇
早川書房 / 2017-10-25
この本について
人間関係で距離感をつかめなかったり、誰かの言葉に必要以上に振り回されたりして、「自分ってちょっとズレているのかも」と不安になることってありますよね。相手の本心を読み切れないまま、勝手に自分を責めてしまう感じ。僕もけっこうそのタイプで、そんなときに読んでしんどさの正体が少しだけ見えたのが『死刑にいたる病』でした。 この物語では、殺人鬼・榛村が発する言葉が、妙に的を射ているようで奥底ではどこか歪んでいて、その境界が少しずつズレていきます。例えば「友達は自分を映す鏡だ」という一見もっともらしい助言が、誰かを支える言葉にも、操るための装置にもなり得る。その揺らぎを追ううちに、僕たちが日常で受け取っている言葉の“重さ”や“裏側”を、改めて考えざるをえなくなります。また、雅也が過去の記憶をたどるほど、見えていたはずの人の輪郭が変わっていく感じが、身近な人間関係にも通じていて、自分の解釈って思っている以上に脆いんだなと実感します。 人の言葉に敏感で、つい考えすぎてしまう人には特に刺さると思います。物語としてはハードですが、「人を見るときの距離」のようなものを、読み終えたあとに静かに調整してくれる一冊でした。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第6章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの22%が集中しています。
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