
現代思想 2017年11月号 特集=エスノグラフィ ―質的調査の現在―
岸政彦
累計読者数4
平均ハイライト数 2.5件/人
star総合評価 30/100
boltライト読書型
この本について
仕事でも日常でも、人の話を聞いたあとに「これを書いていいのか」「自分の言葉にした瞬間に何かを壊してしまうんじゃないか」と迷うことがよくあります。相手の経験をどう扱えばいいのか、自分の距離感も揺れる。私もずっとこのあたりでもたついてきました。 この特集を読んで救われたのは、「書くこと」は暴力にもなるけれど、黙ることで逆に相手の語りを台無しにしてしまうこともある、という視点でした。ディテールにこだわるのは単なる“寄り添い”ではなく、計量でいう確率のように、そこから人間の理論のようなものを立ち上げていく作業なんだと気づかされます。これは研究者だけの話ではなく、誰かの話を受け取って、自分の中で位置づけ直すときの態度にもつながります。 依存症の人たちの語りが他人事ではなく、自分の延長にあると著者が語る部分も印象的でした。問題を「対象」として扱うのではなく、自分の生きづらさと地続きのものとして見たとき、他人の経験をどう書くかという迷いも少し違って見えてきます。 人の話を扱う仕事をしている人、日記や創作で“他者の言葉”に触れて戸惑いがちな人には特に刺さると思います。
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