
貞観政要 (ちくま学芸文庫)
呉兢 and 守屋洋
講談社 / 2021-01-12
この本について
仕事が安定してきた頃に、逆に判断が鈍ることってありませんか。組織が落ち着くほど、空気を読んで意見を言いづらくなったり、細かいほころびを「まあいいか」で流してしまったり。自分でも気づかないゆるみみたいなものが、じわじわ積み上がっていく感じです。 『貞観政要』を読むと、その感覚がまったく特別なことではなく、むしろ「守りの時代」には必ず起きる現象なんだと腹に落ちます。太宗が何度も語るのは、身を正すとか、諫めを聞くとか、一見きれいごとのようだけれど、実際は組織が大きくなるほど難しくなることばかり。たとえば、小さな問題にも“波及する小事”があって、それを見抜けるかどうかで後の混乱が決まる話や、能力だけでなく人格を見ないと悪人ほど大きな害を出すという指摘は、いまの職場にもそのまま当てはまってしまいます。 何より印象に残るのは、太宗が「自分を映す鏡」として、きちんと諫言してくれる側近を求め続けた姿勢です。自分の判断に自信がないときほど、耳の痛いことを言ってくれる相手がいるかどうかで迷い方が変わる。これは管理職だけでなく、誰にでも当てはまる感覚だと思います。 勢いより持続に悩んでいる人、組織の“守り”が怖くなってきた人には、静かに効く本です。
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