
ビタミンF(新潮文庫)
重松 清
新潮社 / 2003-07-01
この本について
家族と過ごしていると、うまく言葉が出てこなかったり、相手の考えていることが読めなくて変に気をつかってしまったり、距離の取り方がわからなくなることがありませんか。嫌いじゃないし大事なはずなのに、どこか居心地の悪さがあって、自分だけが不器用なのかなと落ち込む瞬間もあると思います。 『ビタミンF』は、そういう「なんとなく説明しづらい家族のモヤモヤ」を、無理にきれいにまとめず、そのままの形で描いてくれます。例えば、帰りたい場所どころか「そこから出ていきたい」と感じてしまう家族の姿や、食べたいかどうかすらはっきり言えない子どもの曖昧さ、沈黙に負けて先に目をそらしてしまう兄弟。どれも大事件ではないのに、胸の奥でずっと気になっていた感情が、ようやく言語化されていくような感触があります。読みながら、自分の家族にも似たような瞬間があったなと静かに記憶が動きます。 特に刺さったのは、「もしも」を大人が恐れと結びつけてしまう場面です。先の不安ばかり並べてしまう自分を思い出し、いまの生活を少しだけ違う角度から見られるようになります。劇的に前向きになるというより、肩の力が抜けて状況をそのまま受け止められるようになる感じです。 家族との距離感にずっと答えが出ないまま、でも向き合うのをやめたくない人に静かに効いてきます。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第10章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの45%が集中しています。
読書の順序
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