
とんび (角川文庫)
重松 清
KADOKAWA / 2008
この本について
最近、「家族って何をもって“うまくいっている”と言えるんだろう」と考える場面が増えている人、多いんじゃないでしょうか。親としてちゃんとできているか、自分の弱さを見せていいのか、子どもや誰か大切な人の前でどう振る舞えばいいのか。正解が見えないまま、日々その場しのぎでやり過ごしている感じがあります。 『とんび』の抜粋を読み返していると、その迷い自体を否定しない視点に救われます。例えば「子どもの悲しさを吞み込む海になれ」という言葉は、強さを求める話ではなく、踏ん張りきれない親が、それでも子どもを想って揺れながら立っている姿に近い。完璧さではなく、“背中を温め合う”という具体的な支え方が描かれているから、自分にもできる形があると思えるんです。また、「人間には逃げる場所がいる」という言葉も、がんばり続けるより先に、帰れる場所を持つことの方が大事だと気づかせてくれます。そして「親はそげん偉うない」という一言が、無意識に背負っていた責任の重さを少し下ろしてくれる。 この物語は、立派な家族を目指す話ではなく、ひとりぼっち同士が寄り添いながら家族になっていく過程を淡々と描いています。だからこそ、誰かを守りたいのに自分も弱いままの人に刺さると思います。 「ちゃんとできていない気がして、胸の奥がずっとざわつく」という人に、そっと効いてくる一冊です。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第10章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの20%が集中しています。
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