感染症の世界史 (角川ソフィア文庫)

感染症の世界史 (角川ソフィア文庫)

石 弘之

KADOKAWA / 2018-01-25

累計読者数13
平均ハイライト数 22.9件/人
推定読了時間 約4時間54分
star総合評価 67/100
start序盤集中型

この本について

ときどき、ニュースで感染症の話題が出るたびに「結局、何をどう怖がればいいのか」が自分でもよく分からなくなることがあります。備えるべきなのか、気にしすぎなのか、その線引きが難しいまま日々が流れていく感じです。 『感染症の世界史』を読んでみて思ったのは、恐怖をあおる類の本ではなく、「人間と感染症の関係って、実はこんなふうに続いてきたんだよ」という俯瞰の視点を静かに置いてくれる本だということでした。たとえば、昔の日本で結核が若者の死因の大半だった話や、交通網の発達がウイルスの移動速度を一気に変えた話は、今の社会の脆さとも直線でつながっています。さらに、偏見や排除の歴史が何度も繰り返されてきた現実に触れると、「正しく怖がる」って結局こういう背景を知るところからしか始まらないんだな、と腹に落ちました。 そしてもう一つ大きかったのは、感染症が自然環境の変化と強く結びついていることが丁寧に描かれている点です。森林破壊や都市化で新しい病が生まれる構造を知ると、単なる医学の話ではなく、自分たちの暮らし方そのものの話なんだと分かってきます。だからといって解決策を押しつけるような本ではなく、あくまで「世界をこう見ておくと判断しやすくなるよ」という静かな距離感です。 歴史の積み重ねを知ることで、不安を煽られすぎず、かといって油断もしない、その中間を探したい人に刺さる一冊だと思います。

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書籍情報(出版社紹介・目次)expand_more

出版社による紹介

コレラ、天然痘、エボラ出血熱……征服しては新たな姿となって生まれ変わる微生物と、人類は長い軍拡競争の歴史を繰り返してきた。40億年の地球環境史の視点から、感染症の正体にせまる。
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