
教誨師 (講談社文庫)
堀川惠子
講談社 / 2014-01
この本について
ときどき、自分の正しさにすがりついてしまって、人の弱さや迷いに向き合う余裕がなくなることがあります。相手に寄り添りたい気持ちはあるのに、どこか“上から”になってしまうあの感じ。分かっているのに直せないまま、ふと自己嫌悪になることもあると思います。 『教誨師』を読んでいて刺さったのは、まさにそこでした。死刑囚と向き合う僧侶たちの姿は特別な世界の話に見えるけれど、実際は、相手の「どうしようもなさ」にどう寄り添うかという、人間関係そのものの話なんですよね。乱暴な正義感で八つ当たりしてしまう渡邉の若い頃や、患者よりも“治してやる”目線のカウンセラーより、何気ない相槌を続ける掃除のおばちゃんのほうが人を救ってしまう場面など、自分の普段の振る舞いをそのまま覗き込まれているようでした。 この本が効くのは、相手を導くことよりも、ただ同じ場所に立つことの難しさを静かに突きつけてくるところだと思います。それは、揺らぎながらも学び続けた教誨師たちの姿勢そのもの。何を言えばいいか分からないときに、無理に答えようとしなくていいのだと気づかされます。 自分の関わり方にいつも迷いが残る人に、特に届く一冊だと思います。
読書インサイト
ハイライト密度
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