
偏見や差別はなぜ起こる?
北村英哉 and 唐沢穣
この本について
人と接していると、ときどき「自分でも説明しづらい距離感」や「なんで今こんな反応をしてしまったんだろう」というモヤモヤが出てきます。悪気があるわけじゃないのに、無意識の前提が相手を傷つけてしまうことがある。そのたびに、自分の中にある見えない枠組みの存在が気になっていました。 この本は、その“見えない枠”を言い当ててくれる一冊でした。進化の過程で獲得した行動パターンが時に偏見につながること、肯定的なつもりの言葉ですら相手には上からの視線に聞こえてしまうこと、そして「例外扱い」によってステレオタイプが強まることなど、日常の小さなズレがどこから生まれるのかが具体的に描かれています。読み進めるほど、自分の反応の理由が静かに説明される感覚がありました。 特に、移民やジェンダー、高齢者の話題で示される「心理的ゲート」という考え方は、自分では閉めたつもりのない扉が勝手に作動しているような怖さと、気づければ変えられるという希望の両方をくれます。誰かを正すというより、まず自分の感覚のクセを知ることで、目の前の人との距離の取り方が少しやわらぐ気がしました。 自分の中の“なぜそう思うのか”を丁寧に見つめ直したい人に、静かに刺さる本です。
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