
現代アートとは何か
小崎哲哉
河出書房新社 / 2018-03-27
この本について
現代アートを前にすると、「結局これは何を見ればいいんだろう」と迷うことが多くないでしょうか。見た瞬間の衝撃だけで判断すると落ち着かないし、かといって理論を詰め込んでも距離が生まれる。自分も長いあいだ、その行き場のないモヤモヤに悩んでいました。 小崎さんの『現代アートとは何か』は、その迷いを「無理に答えを出さなくていいけれど、どう見れば前より自由になれるか」という方向にそっと寄せてくれます。たとえば、アートが哲学や文化人類学と絡み合って動いてきた流れを追うと、作品を“説明”しようとする視点から少し抜け出せます。さらに、アートワールドそのものが巨大なシステムで、作家もキュレーターも鑑賞者もその中の共犯者である、という視点に触れると、「個々の作品 vs 自分」という硬い構図がほぐれていく感覚があります。そして現場主義のキュレーターたちの姿を知ると、作品を前にしたときにもう少し素直に立てるようになるというか、理論と体験のあいだにある揺れを許せるようになるのが大きいです。 アートを“正しく理解したい”というより、“自分の見方を更新したい”人に刺さる一冊だと思います。自分も、この本を読んでから作品の前に立つ時間の質が少し変わりました。
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